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2002年08月04日
『歌う石』
O.R.メリング著、井辻朱美訳『歌う石』(1995年、講談社)
少女ケイは、孤児として施設や里親のもとで育てられ、現在は一人で暮らしています。他人の過去や感情が映像として見える能力を持つ彼女は、自分が何者なのか知りたいと考えていました。ある日突然送られてきた、アイルランドに関する古い書物を読んだ彼女は、自分のルーツを求めてアイルランドへの旅に出かけます。不思議な力に導かれて古代アイルランドにやって来たケイは、アエーンという謎の少女と、トゥアハ・デ・ダナーン族の宝物を求める冒険を始めることになりました。
とてもスケールが大きく幻想的な物語です。モチーフとして使われていますが、まさにさまざまな人や場所、時間が織り込まれた織物のように豪華です。そしてケイが一体何者であるかが明らかになるのですが、これにも「あっ」と驚くような仕掛けがなされていました。古代アイルランドの歴史や伝説に非常に造詣が深いのは確かですが、主人公の幻視(ヴィジョン)を見る能力や登場人物の恋愛感情が、もっと深く書かれていれば、もっと面白く感じられたと思いました。もちろん『歌う石』は優れた物語だとは思います。でも、この点が唐突というか他に比べて浅い感じがしました。これで文体がもっと軽いものだったら、私が中学・高校時代に読んでいたティーンズ向け小説のような感じかもしれない、という印象を受けました。
投稿者 Remi : 2002年08月04日 15:24
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