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2003年01月02日
『夏の王』
O.R.メリング著、井辻朱美訳『夏の王』(講談社、2001年)
妖精の存在を信じていた少女オナーは、1年前、祖父母の住むアイルランドで命を落としました。彼女を理解できなかったことに責任を感じていた双子の姉のローレルは、再びアイルランドを訪れます。オナーが日記に書き残していた謎を明らかにしようとするローレルの前に、妖精が現れます。その妖精によると、オナーは〈夏至祭〉の前夜に最初のかがり火をともす〈夏の王〉を探そうとしていたけれど、それが果たせなかったために現実世界と妖精界の狭間にいるとのことでした。そして、彼女が妖精界に受け入れられるためには、その重要な役目をローレルが果たさなければならないのです。
ローレルはアイルランド北西部のアキル島で、海賊女王やワシの王、祖父母の通う教会の牧師の息子イアンに助けられながら、謎を解き明かしてゆきます。
これまでの物語と違い、本来相棒となるべきだったオナーはもう死んでしまい、ローレルのそばにはいられない、という設定が興味深く感じられました。ローレルにはオナーに対する負い目があって、それが重くのしかかっています。〈夏の王〉にまつわる謎だけでなく、ローレルがその重荷からどのように解放されるかというのも、物語の重要な要素になっています。『妖精王の月』とつながりのある部分もあるので、そちらを読んでからのほうがより楽しめると思います。
そして、『妖精王の月』にさらに時間を超えるという要素が加わり、ローレルもイアンも陰の部分に支配され、苦しめられているということが、この物語をさらに面白くしていると思います。誰もがハッピーになれる結末ではありませんが、そのため物語がより現実的になるように思います。
余談ですが、私はローレルよりも早く〈夏の王〉の正体に気づきました。あたりまえですが……。
投稿者 Remi : 2003年01月02日 15:06
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